解体通信
新解体 第021号(2018.12)
総務情報委員会
寒さもひとしお身にしみるころ、皆様いかがお過ごしでしょうか。西高東低の冬型の気圧配置となる日も多くなり、風速も増し解体現場の高所作業においては、より一層の注意が必要になる季節が訪れてまいりました。
さて、安全帯に関する法律が改正されます。平成30年6月8日に公布された「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令」、及び平成30年6月19日に公布された「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令」が平成31年2月1日に施行されます。解体現場での安全帯着用は必須であり、今回はこれら政令等の改正について説明したいと思います。
改正のポイント
1.安全帯の名称が墜落制止用器具に変更となります。
従来の安全帯のうち胴ベルト型(U字つり)は、墜落制止用器具として認められなくなります。
2.墜落制止用器具は「フルハーネス型」を使用することが原則となります。
墜落制止用器具はフルハーネス型が原則となりますが、フルハーネス型の着用者が墜落時に地面に到達する恐れのある場合(高さが6.75m以下の場合)には、胴ベルト型(一本吊り)を使用できます。
3.安全衛生特別教育が必要になります。
高さが2m以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところにおいて、墜落制止用器具のうちフルハーネス型のものを用いて行う作業に係る業務に就く労働者は、(ロープ高所作業に係る業務を除く)特別教育(学科4.5h+実技1.5h)を受講する必要があります。ただし、一定の条件のもとに教育の一部を省略することが可能な場合があります。
安全衛生特別教育の内容は下記です。
学科科目
Ⅰ作業に関する知識 1時間
①作業に用いる設備の種類、構造及び取扱い方法
②作業に用いる設備の点検及び整備の方法
③作業の方法
Ⅱ墜落制止用器具(フルハーネス型のものに限る。以下同じ)に関する知識 2時間
①墜落制止用器具のフルハーネス及びランヤードの種類及び構造
②墜落制止用器具のフルハーネスの装着の方法
③墜落制止用器具のランヤードの取付け設備等への取付け方法及び選定方法
④墜落制止用器具の点検及び整備の方法
⑤墜落制止用器具の関連器具の使用方法
Ⅲ労働災害の防止に関する知識 1時間
①墜落による労働災害の防止のための措置
②落下物による危険防止のための措置
③感電防止のための措置
④保護帽の使用方法及び保守点検の方法
⑤事故発生時の措置
⑥その他作業に伴う災害及びその防止方法
Ⅳ関係法令 安衛法、安衛令及び安衛則中の関係条項 0.5時間
学科科目合計4.5時間
Ⅴ実技科目 1.5時間
墜落制止用器具の使用方法等
①墜落制止用器具のフルハーネスの装着方法
②墜落制止用器具のランヤードの取付け設備等への取付け方法
③墜落による労働災害防止のための措置
④墜落制止用器具の点検及び整備の方法
実技科目合計1.5時間
※受講を省略できる条件
➀高さが2m以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところでフルハーネス型を用いて行う作業に6月以上従事した経験を有する者は、Ⅰ、Ⅱ、Ⅳを省略できます。
②高さが2m以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところで、胴ベルト型を用いて行う作業に6月以上従事した経験を有する者は、Ⅰを省略できます。
③ロープ高所作業特別教育受講者又は足場の組立て等特別教育受講者は、Ⅲを省略できます。
なお、適用日(平成31年2月1日)より前に、改正省令による特別教育の科目の全部又は一部について受講した者については、当該受講した科目を適用日以降に再受講する必要はありません。
4.現行の構造規格に基づく安全帯(胴ベルト型・フルハーネス型)は平成34年(2022年)1月2日から使用できなくなります。
以上簡単ではありますが、政令等の改正について説明させていただきました。安全・安心な作業環境で墜落や転落による労働災害防止をより一層推進してまいりましょう。