新解体 第018号(2018.09)
総務情報委員会
解体通信
~~石綿含有仕上塗材の除去等作業における石綿飛散防止対策~~
暑さ、暑さの夏ももうじき、秋に移り変わりそうですが、まだまだ残暑お見舞い申
し上げます。
協会事業である視察研修が、8月30日~9月1日まで三重県~和歌山県で行なわれ
ました。参加した会員の皆様、伊勢神宮、那智の大滝は本当に背筋が伸びましたね。
さて、解体工事における、石綿関連作業において昨今、行政は元より民間工事でRC
造やS造ALC版に吹き付けてある、或いはローラー塗りしてある、石綿含有仕上塗
材の解体見積、施工が出てきております。
正直言って、解体工事業者と言うよりも塗装業者の範疇であると思いますが、レベ
ル1か3かでその施工方法が違ってきます。施工するには予算が伴いますので法令導
守の元、受注を伸ばすよう努力致しましょう。
■建築用仕上塗材とは
石綿を主材や下地調整塗材に少量、吹付けたり、ローラー塗りしたものである。
石綿則における適用区分は、
1.吹付けられた石綿等
2.石綿等が使用されている保温材、耐火被覆材等
3.その他
に分類されますが、「建築物等に吹付け工法により施工されたものは『吹付けられ
た石綿等』に該当するという通達(29.05.31)がありました。
■本来の『吹付けられた石綿等』と仕上塗材は別物ではないか
塗材の石綿繊維は合成樹脂などによって結合塗膜が健全な状態では発散しないので
本来の『吹付けられた石綿等』のように除去時にに負圧隔離しなくてもいいのでは
ないかという例外規定がある。
この「同等以上」の措置による例外規定・・「同等以上の効果を有する措置」につ
いて以下、参考にして下さい。また、吹付工法以外のローラー塗りに関しては、届
出の必要がないことを加えておきます。
■隔離と同等以上の措置と判断できる工法の例
・集塵装置併用手工具ケレン工法
・集塵装置付き超高圧水洗工法
・超音波ケレン工法
・剥離剤併用手工具ケレン工法
・剥離剤併用超高圧水洗工法
・剥離剤併用超音波ケレン工法
・集塵装置付きディスクグラインダーケレン工法
■湿式剥離工法
メーカーはレベル3相当と主張していますが、行政などの判断でレベル1相当での
施工となる場合があることに注意する。
(特徴)
・飛散防止効果;塗材を湿潤させて剥離する為、石綿が飛散しない。
・高粘度タイプ;エアレス・スプレーガンを使用可能でありながら液だれし難い。
・ジクロロメタン不使用; 有害性が無く、土壌汚染防止法に抵触しない。
・作業が簡単; 塗布、剥離作業が容易に出来、工事費を圧縮できる。
■リシン等薄膜塗材の除去に剥離剤併用手工具ケレン工法を採用
①使用剥離剤缶をよく攪拌する。
②塗膜上からスプレーガン、ローラー、刷毛等で塗布する。
③一定時間(2~5時間、通常3時間程度)放置する。剥離剤が徐々に塗膜に浸透。
④塗布部にマスカー(シート類)等で養生すると効果的である。
⑤化学反応により、塗膜が軟化湿潤した状態になる。
⑥ケレン工具(スクレーパー等)で剥ぎ取ると湿潤したシート状に回収できる。
⑦剥ぎ取り後、水洗いか、固化剤を塗布する。
■剥離剤使用時の注意事項
本文より、解体工事業者施工よりも塗装業者施工の範疇であることが理解できる。
①取扱方法
・火気厳禁
・液剤が身体に触れると危険、保護手袋、メガネ、マスクを使用
・施工は風通しの良い場所か、換気をする(隔離した場合は負圧除塵機使用)
・使用した器具は乾かないうちに水や溶剤で洗浄する。
②救急措置
・蒸気の吸い込みにより気分が悪くなった場合は、安静か、医師の診断受診
・手や皮膚に付着した場合は、直ちに大量の水で洗い流し、医師の診断受診
・目に入ったときは、大量の水で数分間洗い流し、いち早く医師の診断受診
・飲み込んだ場合は、無理に吐かせず、大量の水を飲み、医師の診断受診
③貯蔵、保管
・高温多湿は避け、倉庫などの冷暗で風通しの良い場所に保管する
・蓋を良く締め、第三者の手の届かない場所に保管する
④廃液処理
・回収した剥離塗材・剥離剤・廃水等は、許可受け処理業者に委託して処理する
⑤施工環境
・温度は10~35度、湿度は85%未満
・温度5度以下でも施工可能であるが、効果薄い
・塗布面が結露している場合は、湿度85%未満でも施工不能
・温度0度以下となる環境での使用及び保管は避ける
・降雨、降雪時の施工は避ける、湿潤軟化効果が薄い
⑥開封後
・剥離剤が高温になると容器内圧が高まり、キャップが飛んだり、中身が飛び出る
⑦施工時
・飛散防止の為、シート養生等と設置する
・塗布する以外の箇所は、マスカー等で覆う
・剥離剤が付着した箇所は滑りやすくなるので注意する
⑧施工後
・作業後は水や洗浄剤等で剥離剤の残存物を洗浄、除去する
・洗浄後は、塗装面を十分乾燥させる
・洗浄に使用した水は、下水や河川に流さず、回収し、塗膜片を除去後、許可受け処
理業者に委託する
※ 今後の課題
1)『吹付られた石綿等』としてレベル1相当で剥離剤併用手工具ケレン工法で見積する。
・・最も経費の掛かる、安全対策を講じた施工方法を採用
2)剥離剤使用によるケレン工法で施工してみる。その折、塗装業者の協力を得て使用方
法や養生方法、施工後の廃液処理方法を教えて貰う。
・・レベル3相当で施工可能か検証する
3)その施工実績を元に見積書の見直しをする。
・・レベル1の養生隔離、負圧除塵機使用の必要性を探る
4)会員に施工実績を開示し、その方法、単価等を共有する。
5)見積に関する問い合わせは、協会事務局で受け付けます。参考事例を提供します。
6)連合会からの資料の提供を推進する。
7)新潟県アスベスト対策技術連絡会議での意見交換、研修に参加し、情報を得、会員に
提供する。
※ RC造の天井、壁やS造のデッキプレート下・梁側等の吹付石綿に始まり、ボイラー
排気筒の断熱材、配管エルボの保温材、そして今回の外壁塗材・・また数年後に他の石綿
含有建材が出現し、その除去作業が遡上に上るでしょう。都度、解体工事業者は対応しな
ければなりません。
■その他、石綿含有仕上塗材の除去等作業における石綿飛散防止対策に関しては、
一般社団法人新潟県解体工事業協会へご連絡下さい。
新潟市笹口、℡:025-245-7673