解体通信
新解体 第007号(2017.10)
総務情報委員会
視察研修も終わり、いよいよ解体工事施工技術講習が始まります。
今年は、広島会場を皮切りに新潟会場まで全国13会場で実施されますが、資格試験が
12月3日ですので新潟会場の受講者は、3週間余りの勉強期間となります。9月28~29日
の広島会場の様に勉強する期間が多ければいいのか、11月9~10日の新潟会場の様に
短期決戦がいいのか、毎年会場日程により、受講者(受験者)の気の持ちようが違うのは
運としかいいようがありません。正直、試験合格率の多少にはあまり関係ないようです。
さて、今回は解体工事における関係法令の石綿障害予防規則について述べます。
【石綿障害予防規則】(以下、石綿則)
石綿則は、平成17年7月1日に施行された、比較的新しい法令であり、それまで石綿に
関する縛りは、特定化学物質障害予防規則(特化則)の一部としての規定でありましたが
石綿が他の化学物質と大きく異なり、直前に大きな事故災害が発生したのを契機に取り
急ぎ、単独の規則として整備されたものである。
平成の世に入り、解体工事に関する身近な関係法令が、ダイオキシン類特別措置法、
建設リサイクル法、そして石綿則であるのは言うまでもありません。解体工事業者の為に
施行されたと言っても過言ではないと思います。実に身近です。
平成18年、21年、そして26年に改正が行なわれましたのでその中身をかいつまんでお
話したいと思います。
1.事前調査における留意事項
1)発注者から仕様状況の通知を受ける
2)目視、設計図書による確認
3)含有分析状況調査
事前調査には、おおまかに上記三点にて行なっています。ここでは目視を取り上げます。
目視は、事前調査の基本ですが、解体工事において建物内部に使われている石綿建材
などの見落としガ多く発生しています。以下に事例リストを挙げます。
□内装仕上材(天井ボード、グラスウール等)の下に石綿含有吹付材が存在する。
□石綿含有吹付材の上からロックウール(含有無し)が吹付けられている。
□鉄骨造の柱、梁に吹付材があり、その仕上材としてモルタルが使われている。
□鉄骨造の柱にある吹付材の周りに意匠的にブロック等が仕上げてある。
□天井の一部に意匠的に吹付材を使用している。
□ボイラー排気筒の内部の吹付材がコンクリートで覆われている。
□外壁、柱のボードやサイディング、パネル等の内側に吹付材がある。(改修)
□鋼板の仕上材の裏打ちとして吹付材を使用している。
□外壁とコンクリート床の取り合い(上階~下階の区画)の層間塞ぎとして含有材が詰めら
れ、仕上にモルタルが使用されている。
□防火区域の貫通部(給排水、電気設備等)に含有材が使用されている。
□準防火建築物の耐火被覆として一部の柱、梁に吹付材が使用されている。
□機械室、ボイラー室等が用途変更され、天井ボードの上に吹付材が使用されている。
□見えない部分に潜む吹付材の例
・玄関の庇の中
・ガラリ内(結露等防止)
・シャフト内部
・パイプスペース
・最上階天井裏スラブ下
・カーテンウォール裏打ち機械室
・防火壁の欠き込み部分
・変電器裏
2.作業員を守る
作業に従事する者を守るためにしなければならないことは、多くあります。
・事前調査並びに結果の掲示の徹底
・特別教育を受講させる、主任者に作業の指揮をとらせる
・保護具等安全装備品を着用させる
・セキュリティーゾーン等、安全施設の充実、適正使用
・作業計画の策定をし、それに沿って作業を行なわせる
いずれも事業主が「行なわせる」ことばかりです。度重なる法改正についていかねば!