新解体 第005号(2017.08)
総務情報委員会
解体通信
蒸し蒸しの梅雨もまだまだ続きますね。体調管理は大丈夫ですか。
先月、安全防災委員会の事業で新潟市駅前のマルタケビル解体工事の見学を実施致し
ました。会員の青木機工建設、齊藤組、小飯田工業のご協力により、無理を言ってお願い
し、人数制限の中、視察研修の場とさせて頂きました。階上解体における安全性の確保
並びに整然とした現場は圧巻であり、危険予知、送り出し教育等、安全衛生管理に努めて
入る模様をつぶさに実感できました、現場施工の会員には深く感謝申し上げます。
さて、今回は解体工事における関係法令の廃棄物処理法についてポイントを抑えましょう。
【廃棄物処理法】(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)
廃棄物処理法(以下、廃掃法)の成立以前は、昭和29年施行の清掃法が基になっていま
した。主に一般廃棄物に関する法令です。その後、昭和45年の公害国会において清掃法を
全面的に改正した、廃棄物処理法が制定されました。
現在の法令は、平成12年改正法を根幹として、運用されています。
1.一般廃棄物と産業廃棄物
解体工事から発生する廃棄物は、産業廃棄物が主であるが、生活残存物のように本来、
発注者が自ら処分しなければならない、一般廃棄物も含まれている。
一般廃棄物に関しては、行政管轄であり、最寄の市町村の条例を基にしていますので、
火災現場等の災害廃棄物は、一般廃棄物として運搬、処分されるのは周知の事実です。
廃棄物の種類として同じものが、発生起因で分かれることに疑問があったり、戸惑うこと
も多々あると思いますが、現行法令では、一般廃棄物でないのが産業廃棄物であります。
危険でないのが「安全」と言われるように寸分の隙間もなく、どちらかに大別されているの
が廃棄物であります。決して抜け道はありません。隠しても必ず見つかります。
2.特別管理産業廃棄物
廃PCB、廃石綿等、燃え殻等、有害物資等に属する廃棄物は、定められた法令に従い、
撤去、保管、運搬、処分しなければならないのは言うまでもありません。今後、この有害物
質等が、追加されるもの覚悟しなければなりません。
ここ20年、ダイオキシン特措法、石綿障害予防規則等、法施行のたびに教育、講習制度
ができ、特に解体工事業者が受講しなければならないようになっています。今後、考えられ
るのは、
・外壁等の断熱材のグラスウールの撤去等に関する教育
・耐火レンガの撤去等に関する教育
・屋根上作業における撤去等に関する教育
・斫り作業等に関する教育
等々・・・
その都度、早めに情報を入手し、率先して教育の場を設けるのも協会団体の努めであり、
労働関係団体と連絡を密に取っていきたいと思います。
3.工場系と建設系
平成13年に建設リサイクル法が施行される前、新潟市で所管の国土交通省のシンポジウ
ムが開催されました。その時に提言したのが、解体工事等建設系廃棄物は、法令でも記載
されているように「副産物」であり、工場から発生する産業廃棄物とは、別にできないのか、
ということでした。産業廃棄物、一般廃棄物は環境省が所管していますし、工場系が大半を
占める産業廃棄物と同じ土俵でいいのか、と言う疑問を永年持っていました。
排出事業者の考え方も違うのですから、廃棄物と副産物で所管を分けたらどうかと喰い
下がりましたが・・工場系では、工場が名目通りに排出事業者。建設系では、廃棄物を発生
する発注者でなく、元請業者が排出事業者。根本が違います。産業廃棄物に建設系を含め
るのが大いに無理があると思いませんか。ところが、不法投棄の種類、排出場所、量に関し
建設系が主流となっていたものですから、産業廃棄物から建設系を分離、独立させることは
できないのが現状であったようです。
ですが、建設系が国土交通省の所管になれば、
・許可も国土交通大臣許可と都道府県知事許可とする
・県外廃棄物も許可次第で自由に運搬、処分ができる
・建設業許可業者で運搬車を使用し、副産物を運ぶ者は全て業法の運搬許可
を取得する、処分に関しては再資源化するもの以下は環境省所管とする
このように建設業を営むものは現在、営業は国土交通省、廃棄物は環境省、労働安全等は
厚生労働省、その他、消防、警察、そして身近な都道府県、市町村の縛りにがんじがらめで
はありますが、その縛りと有意義に付き合っていくのも試練であります。